よく噛むことの大切さとは?食事で意識したいポイント
食事を急いで済ませたあと、お腹が重く感じたり、気づけば食べ過ぎていたりすることはありませんか。よく噛むことの大切さは、消化の助けになること、満腹感を感じやすくなること、あごや口まわりの健康にもかかわることにあると言われています。ただし、効果の感じ方には個人差があり、噛めば何でも解決するわけではありません。 (出典: WHO Fact sheet: Healthy diet)
なぜよく噛むことが大切だと言われるの?

大きな理由は、食べ物を細かくして唾液とよく混ぜることで、消化の最初の段階を助けるからです。口の中で食べ物が小さくなると、胃腸が受け取るときの負担が軽くなると一般的に説明されています。
厚生労働省や健康づくりサポートネット(旧e-ヘルスネット)の情報によると、噛むことは口の健康や食べ方の習慣とも関わるとされています。唾液には口の中を潤し、食べ物をまとめて飲み込みやすくする働きがあり、噛む時間が長いほど唾液が出やすくなると言われます。
もう一つよく挙げられるのが、満腹感との関係です。食べ物を飲み込んでから満腹の合図が脳に伝わるまでには時間がかかるため、ゆっくり噛んで食べると、食べ過ぎを防ぐ手がかりになることがあります。
一方で、噛む回数を増やせば体重が必ず減る、胃腸の不調が消える、といった受け止め方は正確ではありません。体質や食事の内容、生活リズムによって影響は変わります。
どれくらい噛めばいい?食事で無理なく続けるコツは?
決まった回数を守ることより、「食べ物の形や味が変わるまで、ゆっくり味わって噛む」くらいの感覚が続けやすいでしょう。よく「一口あたり何回」という目安が紹介されますが、食べ物の硬さや大きさ、人の噛む力によって適した回数は違います。
日常で取り入れやすい工夫には、次のようなものがあります。
- 一口の量を少なめにして、口の中がいっぱいにならないようにする
- 飲み込むまで次の一口を運ばず、箸を一度置いてみる
- ごぼうやきのこ、根菜など、噛みごたえのある食材を献立に加える
- テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食べ」を減らす
- 水やお茶で流し込む食べ方を控えめにする
最初から全部を変えようとすると疲れてしまいます。まずは一日一食だけ、ゆっくり食べる時間をつくるところからでも十分です。
なお、食事の時間が取れない日や、会食で周りのペースに合わせる場面もあります。そんなときは無理に回数を数えず、できる範囲で意識する程度にとどめると気持ちが楽です。
調理や食材選びで噛みごたえを工夫するには?
同じ食材でも、切り方や加熱の仕方で食感は大きく変わります。たとえば野菜を薄切りではなく乱切りや大きめのカットにする、炒めすぎずに歯ごたえを少し残す、といった工夫で、自然と噛む回数が増えやすくなります。味付けを濃くしすぎないことも、素材の風味をゆっくり味わうきっかけになります。
主食では、白米に雑穀や玄米を混ぜたり、よく焼いたパンを選んだりする方法もあります。ただし、硬いものが続くと負担に感じる人もいます。自分の歯やあごの状態に合わせて、無理のない範囲で取り入れてください。
家族で食卓を囲む場合は、年齢や噛む力に差がある点にも配慮が必要です。小さなお子さんや高齢の方には食材を小さく切る、柔らかく煮るなどの調整をしつつ、大人は噛みごたえのある一品を添えるなど、同じ食卓でも工夫の余地があります。
噛みにくい・あごが疲れるときはどう考えればいい?
噛むときに痛みや違和感があるなら、回数を増やすことよりも、原因の確認を優先したほうがよいでしょう。むし歯や歯周病、合わない入れ歯、あごの関節の不調などが背景にあることもあり、自己判断で無理に噛み続けるのは勧められません。
厚生労働省の情報でも、歯や口の健康を保つことは食事を楽しむ土台になると紹介されています。噛みにくさを感じたまま放置すると、柔らかいものばかり選びがちになり、食事のバランスにも影響する場合があります。
とくに次のような様子があるときは、歯科医院や医療機関に相談すると安心です。
- 噛むとあごが痛む、口が開けにくい、音がする
- 歯がぐらつく、歯ぐきから血が出る
- 入れ歯や詰め物が合わず、食べにくい
- 飲み込みにくい、食事中によくむせる
小さなお子さんや高齢の方では、噛む力や飲み込む力の状態が食事の安全にも関わります。年齢や状態によって適した食べ物の硬さや大きさが違うため、気になる場合は歯科医師や管理栄養士などに、状態を見てもらったうえで相談してください。
よくある質問
忙しくて時間がないときは、どうすればいいですか?
全部の食事を変えようとせず、最初の数口だけゆっくり噛むなど、できる場面から取り入れてみてください。毎回完璧にこなす必要はありません。続けやすい形を見つけることが大切です。
柔らかい食べ物ばかりだと、噛む力は弱くなりますか?
噛みごたえのある食事が少ないと、口まわりの筋肉を使う機会が減ると言われることがあります。ただし、感じ方や影響には個人差があります。噛みにくさが気になるときは、歯科医師に口の状態を確認してもらうと安心です。
ガムを噛むのは、よく噛む習慣の代わりになりますか?
ガムは噛む動作の機会になりますが、食事で食べ物を味わいながら噛むこととは別のものです。あごに違和感がある場合や、歯の詰め物・入れ歯がある場合は、続けてよいか歯科医師や歯科衛生士に相談してください。
子どもにゆっくり食べる習慣をつけるには?
「早く食べなさい」「よく噛みなさい」と声をかけ続けるより、大人が一緒にゆっくり食べる姿を見せるほうが伝わりやすいでしょう。食事の時間に余裕を持たせ、食べ物の食感や味について会話するのも一つの方法です。食べ方に不安があるときは、小児科や歯科で相談してください。
免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。健康上の判断は医師などの専門家にご相談ください。


