永久歯が生えてきたときのケアと気をつけたい点
子どもの口の中に永久歯が顔を出し始めると、「いつもの歯みがきでいいのかな」「乳歯が残ったままだけど大丈夫かな」と不安になる保護者の方は少なくありません。新しく生えたばかりの歯は、毎日の汚れを落とす工夫と、様子を見守る視点が大切だと言われています。
永久歯が生えてきたときのケアとは、生え始めから噛み合わせが整うまでの時期に、むし歯予防や歯ぐきの清潔を意識して口の中を整えていくことを指します。生える時期や順番には個人差があるため、周りの子との比較より、その子の口の中の状態を見ることがポイントです。 (出典: WHO Fact sheet: Oral health)
永久歯のケアが気になりやすい場面

永久歯への生え変わりは、小学校に上がる前後から始まる子が多いとされています。ちょうど生活が大きく変わる時期と重なるため、歯みがきが雑になったり、仕上げみがきをやめてしまったりしやすい時期でもあります。
厚生労働省の健康づくりに関する情報でも、歯と口の健康は生涯を通じた健康づくりの土台として位置づけられています。生え変わりの時期は、その習慣を整えるきっかけになりやすいといえます。
よくある二つの場面
ここでは、あくまで一般的な想定として二つの状況を挙げます。
- 場面A: 下の前歯の裏側から永久歯が生えてきたのに、乳歯がまだぐらぐらせず残っている。
- 場面B: 奥に新しい大きな歯が生えてきたが、頭の一部しか出ておらず、みがきにくくて汚れがたまりやすい。
この二つは、生え変わりの時期に特に相談が多い場面として知られています。以降の説明でも、この二つを軸に考えていきます。
永久歯が生えてきた時期の基本的な考え方

生え始めの永久歯は、表面が成熟している途中で、乳歯に比べてむし歯になりやすい面があると言われています。とくに奥歯の溝や、生えかけで周りの歯ぐきが覆いかぶさっている部分は、汚れが残りやすい場所です。
歯みがきで意識したいこと
生えたての歯は背が低く、他の歯と高さがそろっていないため、歯ブラシが届きにくくなります。毛先が当たりにくい部分は、ブラシの向きを変えたり、小さめのヘッドを選んだりする工夫が参考になります。
歯ぐきが少し赤く腫れたように見えることもあり、痛みを避けて磨かなくなると汚れが残りがちです。強くこすらず、やさしく動かすことが一般的にすすめられています。
フッ素や補助用具について
フッ素入りの歯みがき剤や、歯と歯の間を清掃する用具は、歯の健康を保つ参考として広く知られています。ただし、年齢に合った製品の選び方や使い方は、製品の説明書を確認し、歯科医師や歯科衛生士、薬剤師に相談してください。
食事や間食との付き合い方
だらだら食べ続ける習慣は、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、歯に負担がかかりやすいと言われています。甘い飲み物や間食の回数・タイミングを家庭で見直すことは、ケアの一つの考え方になります。
厳しい制限をかけすぎると親子のストレスになりかねません。無理なく続けられる範囲で整えることが大切です。
状況によって変わる対応

場面A: 乳歯が残ったまま永久歯が生えてきたとき
乳歯の内側や外側から永久歯が顔を出し、歯が二重に並んだように見えることがあります。下の前歯ではしばしば見られ、乳歯が自然に抜けて位置が落ち着く場合もあると言われています。
一方で、しばらく様子を見ても乳歯が残り続ける場合や、歯並びが気になる場合は、歯科医院での確認が安心です。ご家庭で無理に抜こうとすると、痛みや出血、歯ぐきの傷につながるおそれがあるため、処置は歯科医院で相談してください。
場面B: 奥の永久歯が生えかけているとき
いちばん奥に生える大きな歯は、一般に「6歳臼歯」と呼ばれることがあります。乳歯が抜けたあとに生えるのではなく、いちばん奥に新しく出てくるため、生え変わりと気づかれにくいことがあります。
生えかけの時期は歯ぐきが一部かぶさり、汚れがたまって歯ぐきが腫れたり、においが気になったりすることがあります。歯ブラシの向きを工夫するほか、みがき方の指導を歯科医院で受けると、自分の口に合った方法がわかりやすくなります。
ありがちな思い込み
「どうせ生え変わるから乳歯は気にしなくていい」
乳歯は永久歯が生える場所を保つ役割があると言われています。乳歯のむし歯が進むと、永久歯の生え方や歯並びに影響することもあるため、時期が来るまでケアを続けることが一般的に勧められます。
「生えたての歯は強いから大丈夫」
むしろ、生えた直後は成熟の途中にあるとされ、汚れが残るとむし歯になりやすい面があります。強いと思い込まず、早めにケアの習慣をつけておくことが参考になります。
「歯並びが悪ければ、すぐに矯正が必要」
生え変わりの途中は、一時的にがたがたして見えることがよくあります。その後の変化には個人差があるので、判断を急がず、気になるときは歯科医院で成長を見ながら相談するのが安心です。
「痛がらなければ受診しなくていい」
むし歯や歯ぐきの炎症は、初期には痛みが出にくいことがあります。定期的に歯科で口の中を見てもらうことは、早めに変化に気づく手がかりになります。
受診を考えたい目安
次のような様子があるときは、歯科医院への相談を検討してください。
- 永久歯の周りの歯ぐきが大きく腫れている、膿のようなものが出ている
- 食事や歯みがきで強い痛みを訴える
- 乳歯がなかなか抜けず、永久歯が明らかに前後にずれて生えている
- 歯の色や形がほかと違って見える
- 熱が出る、顔が腫れるなど全身の症状を伴う
こうした症状の原因は人によって異なり、自己判断で決めつけることはできません。気になる点はメモや写真で記録しておくと、診察で伝えやすくなります。
まとめ
永久歯が生えてきたときのケアは、特別なことよりも、日々の歯みがきと仕上げみがき、間食の見直し、定期的な歯科受診を無理なく続けることが基本になります。
- 生えたての歯は汚れが残りやすいので、届きにくい場所をやさしく丁寧にみがく工夫が参考になる。
- 乳歯が残る、奥歯が生えかけなど、場面によって気をつける点は変わり、生え方には個人差がある。
- 痛みや腫れ、生え方の違和感があるときは、自己判断で処置せず歯科医院に相談する。
フッ素入り製品や補助用具を使う際は、製品の説明書を確認し、歯科医師・歯科衛生士・薬剤師に相談してください。お子さんの口の中の変化を落ち着いて見守りつつ、迷ったときは早めに専門家へ相談しましょう。
免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。健康上の判断は医師などの専門家にご相談ください。


